狂乱から3年――ZB1の「2026年契約満了」が迫る今、世界を揺るがしたオーディションの功罪を追う
boys planet 999という検索フレーズが、今なおSNSや検索エンジンの急上昇ワードに浮上し続けている。2023年春、世界中を巻き込んだあのサバイバル狂騒曲から、すでに3年。デビューグループ「ZEROBASEONE(ZB1)」が契約満了を迎える2026年の今、当時の熱狂を再燃させるかのように、業界内外で再評価と議論が白熱している。
K-POP第5世代の勢力図を一夜にして塗り替えたboys planet 999の潮流は、単なるテレビ番組の枠組みを完全に逸脱していた。ボーイズグループ市場におけるグローバル投票の絶対化、脱落者たちによる異例の派生グループ乱立、そして国境を越えたファンダム経済の狂乱。あの日、少年たちへ投じられた無数の1票は、現在のエンタメシーンに何を残し、何を奪ったのか。
2026年、ZB1「2年6ヶ月」のリミットと各事務所の思惑
タイムリミットは確実に近づいている。2023年7月の鮮烈なデビューから駆け抜けた2年半。ZEROBASEONEの活動期限とされる2026年半ばを前に、K-POP界隈は異様な緊張感に包まれている。
かつてのガールズ版『Girls Planet 999』から誕生したKep1erが一部メンバーの契約延長という前例を作ったことで、ファンの期待値は否応なく跳ね上がった。だが、現実は甘くない。中国のYuehuaをはじめ、メンバーを送り出した原所属事務所の思惑はあまりにも複雑に絡み合っている。自社に戻して新グループのセンターに据えるのか、それとも共同マネジメントで延命を図るのか。億単位の利益が動く交渉のテーブルで、ファンの純粋な願いは常に資本の力学にさらされている。
「脱落者」たちが証明した異例の市場価値――EVNNE、TIOTらの進撃
過去のオーディション番組と決定的に違っていたのは、最終選考で涙をのんだ練習生たちの「その後」だ。従来なら、脱落組は長い練習生生活へ逆戻りするか、規模の小さな事務所でひっそりと再起を待つのが通例だった。
その常識を完全に破壊したのがEVNNEやTIOT、AMPERS&ONEといった派生グループの存在だ。番組放送中から強固なファンベースを築き上げた彼らは、デビュー直後からZeppツアーやアジア展開を軽々と成功させてみせた。もはや「勝者だけが総取りする」時代は終わった。番組そのものが巨大なショーケースとなり、たとえ途中で姿を消そうとも、爪痕さえ残せば即座にマネタイズできる市場が完成したのだ。
日韓投票格差と「ファンダムの分断」:あの時、数字の裏で何が起きていたのか
喉元を過ぎれば熱さを忘れる、とはいかない。当時、激しい議論を呼んだ「韓国票50%・グローバル票50%」という配分システムに対する禍根は、今もファンの胸に燻り続けている。
日本を含むグローバル投票が何百万票集まろうとも、韓国国内の数万票と同等に希釈されるアルゴリズム。日本のファンは悔しさをバネに、推しを押し上げるため狂気的なまでの団結を見せた。韓国のSIMカードを手配し、ストリーミング回数を稼ぎ、深夜まで投票協定を結ぶ――。あの極限状態が産み落としたのは、結束した強固なコミュニティであると同時に、国籍による「推しの格差」という根深い徒労感だった。
過熱するサバイバル市場の疲弊と「次なる一手」
あれから3年の間に、業界は幾度となく二匹目の泥鰌を狙った。競合他社による類似番組の乱発、Mnet自身による新たな試み。しかし、視聴者の熱量は明らかに分散し、摩耗している。
少年たちの汗と涙、そして意図的な編集によって生み出される「悪編(悪意ある編集)」のドラマに対して、大衆はあからさまな忌避感を抱き始めた。感情を揺さぶられることへの疲弊だ。2026年の現在、オーディション番組が生き残るためには、かつてのような過激な人間関係の切り売りではなく、圧倒的な楽曲クオリティと人間的な尊厳を担保した透明性の高いシステムが求められている。
K-POPの国境を溶かしたのか、それとも再構築したのか
中国出身のジャン・ハオが韓国のオーディション番組で「外国人初のセンター(P01)」を勝ち取った瞬間、歴史は動いたと誰もが信じた。実際、あれはK-POPの純血主義に打ち込まれた最大の楔だった。
だが、その後のグローバル化はどうだ。真の意味で国境は溶けたのか。むしろ「グローバル枠」と「国内枠」の線引きはよりシビアになり、多国籍グループにおける言語や文化の壁、そして政治的リスクに対する各事務所の警戒心は以前にも増して高まっている。功績は大きいが、同時にパンドラの箱を開けてしまった感は否めない。
「作られた物語」の向こう側――少年たちが切り拓いたリアル
どれほど大人の演出が介在しようとも、ステージの上で放たれた光まで偽物だったわけではない。あのサバイバルが残した真の遺産は、過酷な競争システムそのものではなく、理不尽な環境下で見せた少年たちの意地と絆だ。
練習室の床に倒れ込みながら互いの手を握り合った記憶。歓声と罵声が入り乱れる中でマイクを握り続けた覚悟。2026年、契約の切れ目という現実的な未来を前にしても、彼らが放った輝きは色褪せない。システムに抗い、自らの手で未来を掴み取ろうとした彼らの足跡は、消費され尽くすエンタメの海の中で、今も確かに息づいている。 (出典: boys planet 999(Yahoo!ニュース))